私がオーダースーツの縫製で一番最初に教えてもらった技術がクセとりです。人の足は腿や脹脛に張りがあり、そこにパンツの生地が当たって真っ直ぐすとんとパンツが落ちてくれません。そこでパンツをすとんと落とすために足の形状に合わせてアイロンでパンツを変形させるクセとりを行います。
変形させるとどのパンツもだいたいS字の形に落ち着きます。クセ取りをすることでパンツ自体が立体感を持つようになり、当たりの少ないスッキリとしたシルエットが出来あがります。
この写真はクセとり後のパンツを平置きした状態です。左が後ろパンツ、右が前パンツとなっています。後ろパンツは平置きした状態で中心部分が2箇所で膨らんでいます。これは尻と脹脛の位置にあたります。前パンツでは前腿と足首の位置で膨らんでいます。また、前パンツと後ろパンツの脇の形状はパズルのピースのようにピタッと繋がりそうなのが分かります。
このように縫製前にクセとりを細かく行うことでより体に馴染み立体感のあるパンツができあがります。